有機性廃棄物処理とタンパク源確保を同時解決!速い・きれい・おいしいイエバエで「養虫産業」を創出
イエバエによる資源循環~養虫産業の創出~/木下 敬介(株式会社フライハイ)
株式会社フライハイ代表取締役・木下敬介さんは、イエバエの養殖とその活用による「養虫産業」の創出について発表しました。木下さんは、かつて養豚場の豚ふんを活用したイエバエ養殖を長年手掛けていたパートナーと共に、今度は、豚ふんではなく、おからを使って清潔な環境でイエバエを育てる事業をスタートしています。フライハイのイエバエは「速い、きれい、おいしい」の3つの特長があると木下さん。卵から幼虫になるまで、多細胞生物の中で最速とされる7日で成長します。またコンテナの中でおからを原料に育て清潔な状態です。さらにイエバエは昆虫の中でもおいしいと定評があり、タンパク質量が多いなど栄養豊富です。
事業の社会的意義について木下さんは次のように話しました。人間の活動が生みだす有機性廃棄物は、循環を経てやがて資源になるが、それには非常に長い年月がかかる。この有機性廃棄物を廃棄物ではなく原料として能動的に活用すれば、短いスパンでタンパク源(イエバエの幼虫)を生産できます。例えば、豆腐工場から毎日大量に廃棄されるおからを使ってイエバエを育て、ローカルな資源循環を生みだせるといいます。昆虫を最大限活用することで「排除すべきものから利用対象へ昆虫のイメージを大きく変えられる」と木下さん。そのまま食べたり食品業へ応用したりする他、飼料として畜産・水産業へ、肥料として農業へ活用できます。さらに人間が出す有機性廃棄物を使って昆虫を育てられ、循環が生まれます。木下さんは一連の事業を「養虫産業」として新たに創出できると話しました。
現在は群馬県にあるプラントでおからの処理を開始しており、2024年に一日3トンの量産プラントの稼働、2025年には各地へ展開するロードマップを示しました。まとめとして「昆虫は食の連鎖や農畜産業の循環に組み込む古くて新しい機能部品であり、昆虫食にとどまらず幅広く展開できる。中でもイエバエは成長が速く、おいしく、有機性廃棄物も処理でき、もっと活用されるべき」と強調し、「すそ野の広い『養虫産業』を形成していきます」と述べました。
審査員講評
審査員の株式会社シグマクシス常務執行役員・田中宏隆さんは「これまでの昆虫利用の概念が大きくアップデートされている。養虫産業という言葉はこれまでなく、新しい分野だ」と講評。株式会社セブン&アイ・ホールディングス執行役員・釣流まゆみさんは「良質なタンパク源の持続的な提供は重要な社会的課題。現状まだ抵抗を持たれがちな食品としての昆虫をどう分かりやすく伝えるか、我々小売業も一緒になって解決していきたい」と話しました。
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