開催レポート

日本の美しき原風景「棚田」が、サステナブルな循環型農業を叶える

「棚田ポニックス」(循環型施設園芸) 低投資、高収益、脱炭素型食料供給システムの実現/遠崎 英史(株式会社プラントフォーム)

プレゼンテーション概要

遠崎さんが提案するのは、棚田を活用したアクアポニックス、循環型施設園芸の「棚田ポニックス」です。

構造としては、大きく分けて三つ。一つ目は、チョウザメの養殖棚田ハウスで、ここで魚を養殖し、餌を食べた魚が排せつしアンモニアになったらろ過棚田に流します。そのろ過棚田ハウスが二つ目。ここのろ過槽でバクテリアを分解し、野菜の肥料に生まれ変わらせます。そして三つ目がLED補光栽培棚田ハウスです。ろ過棚田でつくられた肥料が野菜に吸収され、もとのきれいな水に浄化されます。浄化された水はポンプによって養殖棚田に戻るという仕組みです。LED補光による野菜の高収穫も期待できます。

遠崎さんが解決したい課題は主に三つ。人口の高齢化、食料安全保障問題そして地球温暖化などの環境問題です。
高齢化が進んで農業人口が減っていくという問題については、IoTで管理をすることで解決できると考えています。農業人口を増やすことは極めて難しいことから、IoTを活用して魚の養殖と野菜の栽培を一カ所で行い、地産地消につなげます。また、このスキームは、ドライバー不足による物価の高騰やフードマイレージ問題の解決にもつながると考えています。
食糧自給率わずか38%、さらに日本の漁獲高の低下という我が国の食料安全保障については、この棚田で魚を養殖し、小麦を栽培することで解決の一助となると考えています。現在22万ヘクタールある農地をすべてこの方法で小麦栽培に充てるとすると、68%を輸入に頼っている小麦が自国でほぼ自国だけで生産できるようになると試算しています。
そして、この農業自体が化学肥料や農薬不使用となるため、「みどりの食料戦略システム」にマッチした農業となり、環境負荷も少なくて済みます。

遠崎さんは「こうした高度施設園芸は投資が高くなりがちです。農産物で回収しようとすると、長期間かかってしまいますが、これは基本的に養殖業で回収するシステムで、30%の営業利益が期待できるものです」と、高収益であることも強調しました。

また、遠崎さんは、小さな生態系が成り立っているこの棚田ポニックスを子どもたちが見て、食べることで、自分たちも生体系の一部であるということを勉強し、「食育」につなげていきたいとも話していました。

審査員講評

アグベンチャーラボの荻野浩輝さんは、「棚田の価値は本当に重要で、農産物を作るだけじゃなく、景観や災害防止、生物の多様性を確保する機能もある。守っていかなきゃいけない文化なのに今棚田がなくなっている中、これをモデル化して、日本国内だけでなくアジアにも展開できるようなモデルになっていったら。いろいろな人がきっとシンパシーを感じると思うので、パートナーや協力者を得てやっていくのがいいのではないか」と話していました。審査の結果、遠崎さんの提案はアイデア部門の最優秀賞を受賞。選定のポイントとして「一番大きかったのは、棚田を使って新しいその循環型の仕組みを作っていくという発想。その考え方がいろいろなところに転用できる。そして、広範な社会課題を解決しようとしていること。このアイデアが実現される世界を見てみたい」と、UnlockSの田中宏隆さんは述べました。

受賞者インタビュー

その他のプレゼンテーション

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