日本酒をおしゃれに手軽に持ち運ぶ!一合缶®︎に入った日本酒ブランド誕生
全国の蔵元から厳選した日本酒缶ブランド/玄 成秀(株式会社Agnavi)
プレゼンテーション概要
株式会社Agnavi代表取締役の玄成秀さんが発表したのは、全国の厳選した蔵元の日本酒を一合缶®︎でブランディングしたビジネスモデルです。玄さんが捉えた課題意識は、日本酒の消費量が年々減少し、それに伴って酒米の消費と生産も減少、日本の食を代表する日本酒が危機的状況にあること。コロナ禍にこの傾向は加速しました。消費者が日本酒を手に取らない要因として、「売り場でどれを選べばいいか分からない」「1本の容量が多く、知らない銘柄に手を出しにくい」と分析。知名度の低い蔵元や銘柄は全体の生産量も少ないため、一般に普及しにくいことも課題と考えました。
消費者に手に取ってもらうため、一合(180ml)入りの缶での販売を発案。全国から厳選した地酒を一合缶®︎に入れることで、おしゃれで適量で持ち運びやすい日本酒ブランドが誕生しました。アルミ缶のメリットについて玄さんは次のように説明しました。お酒の大敵であるUVをカットできる品質面、軽くて割れないという物流面、収納しやすさや手頃な価格、湯煎で熱燗ができるなど消費面に特長があります。さらに、98%という高いリサイクル率や配送代の安さなどからボトルに比べて環境配慮の面でも優位性があります。事業の進め方は、蔵元から1000リットル単位で充填委託を受け、そのうち一部を買い取ってブランディングし販売すると説明しました。蔵元は生産のプロだが、加工や販売に手が回らないことが多い。そこを我々が担うことでウィン・ウィンの関係性を築いていく。
蔵元ごとの代表銘柄をハイエンド向けに多品種少量で作る「ICHI-GO-CAN(一合缶®︎)」と、海外消費者や若者向けに大量生産し低価格帯で提供する「Canpai(カンパイ)」の二つのカテゴリーに分けてブランド構築を行っているといいます。2021年に事業を開始し、23年は100万本生産の計画、数年後には生産1億本と酒米の消費量5%アップを目指すとのこと。海外展開もしっかり行いながら販売基盤を構築し、日本酒を通じて地域に来てもらう仕掛けづくりをしていきたいと考えています。まずは日本酒を知ってもらい、気軽に手に取る、買う、生産地に足を運ぶ、地域の魅力を体感する、そこからリピーターを増やすのが目標です。
審査員講評
審査員の株式会社セブン&アイ・ホールディングス執行役員・釣流まゆみさんは「売り場での品質管理方法を工夫し確立して、ぜひ日本酒文化を世界に広めてほしい」とコメント。アグリビジネス投資育成株式会社取締役代表執行役・松本恭幸さんは「聞けば聞くほど興味深いビジネス。バリューチェーンがどんどん広がる可能性を秘めている」。また審査の結果特別賞を受賞し、授賞式で株式会社シグマクシス常務執行役員・田中宏隆さんは「世界における米の可能性を引き出した。生活者のライフスタイルを変えるのみならず、生産者とも協働が深まることに大いに期待する」と講評しました。
受賞者インタビュー
その他のプレゼンテーション
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