開催レポート

ナノバブルで日本の農業を元気に!産地をブランド化し地域創生を目指す

ナノバブルによる生産性向上と循環社会実現/六角勇亮さん(株式会社カクイチ)

プレゼンテーション概要

株式会社カクイチの六角勇亮さんが発表したのは、ナノバブルによる農業生産性の向上と循環社会の実現です。ナノバブルとは直径1ミクロン未満の微細な泡。同社ではナノバブルとこれより少し大きなマイクロバブルを同時に発生させ一気に溶存酸素を高め維持する技術を開発し、農家に提供しています。

「日本を農業で元気にする」が同社の合言葉であると話す六角さん。事業を通して、食料自給率の向上・環境負荷の軽減・鮮度保持とロス削減の3点を実現したい。農業に使う水に大量のナノバブルを発生させることで実現した効果を次のように説明しました。

ナノバブルでホウレン草を栽培すると収穫量が20%アップ。生産性向上と同時に農家の収入増にもなりました。また土壌に蓄積された窒素成分の吸収促進効果が高いこと、さらに栽培した花の鮮度が長期間保持できることも分かりました。

有機農家に意見を聞いたところ、生産性が向上する技術が歓迎される一方で「出口が欲しい」との声が聞かれたそう。そこで同社では生産性と販売先の課題をどちらも解決するモデル「産地まるごとナノバブル」を発案しました。ナノバブルを活用し地域全体で有機栽培に取り組むことで、高付加価値野菜を多く作ることができ、水質と土壌が改善されていくという循環を生みます。

産地がブランド化することで出口(販売先)が増え、新規就農者やシルバー人材の活用から地域活性化につながります。実際に茨城県ではJ1鹿島アントラーズとの協働によりオーガニックビレッジ実現に向けた取り組みを行っているとのことで、全国に参画企業を増やしたい。と意気込みます。

同社の優位性として六角さんは「知の共有の仕組み」を挙げます。知見やノウハウは一般に企業と大学、企業と農業など二者間で共有されるが、われわれは大学・農家・企業の三者による共同研究を行い、その蓄積を農業へ還元する仕組みをしっかり構築しています。これにより全国にネットワークを広げてノウハウが共有でき、新規就農者へのサポート体制も整っているとのこと。

ロードマップとしては、2023年は販売チャネルの強化、24年に有機野菜ブランド強化と流通開拓を行い、25年には目標である環境改善と地域創生を目指します。最後に、日本を農業で元気にしたい。そのために目の前の農家さんに喜んでもらえることをやる。と決意を述べました。

審査員講評

審査員の一般社団法人AgVenture Lab代表理事・荻野浩輝さんからナノバブル発生装置の独自性について質問があり、「装置自体は他社も開発しているが、農地の配管に直接組み込む技術で特許を取得。さらに知の共有の仕組みは他社に真似のできないこと」と回答しました。株式会社シグマクシス常務執行役員・田中宏隆さんは「崇高な理想と目標を掲げる御社が旗を振れば、技術力のあるプレイヤーが共感し集結し理想の実現に近づくと思う」とコメントしました。

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