開催レポート

世界ではスタンダート!セミの幼虫を食材に タンパク源確保と農家の課題解決の一石二鳥

セミの幼虫の自動収集装置の開発と加工・商品化/伊藤 洋平(セミたま)

プレゼンテーション概要

ソーシャルスタートアップ「昆虫食のセミたま」代表の伊藤洋平さんは、セミの幼虫の自動収集装置の開発と、食材としての加工・商品化について発表しました。初めに「セミの幼虫は世界で食材として使われているが、日本ではまったく注目されていない」と切り出した伊藤さん。特に中国では盛んに食べられ近年価格も上昇、産地では大きなビジネスになっていると説明しました。伊藤さんは2018年から年に二回セミの幼虫や成虫を食べる「セミ会」を開催しており、参加者には大変好評で「おいしい」と喜ばれ、食材としての可能性を感じているとのこと。

事業の進め方としては、幼虫の確保をするために、セミが好み卵を産み付けやすいリンゴ園やナシ園に協力してもらい、生まれた幼虫を捕獲します。幼虫が地中から木を登ってくる性質を利用し、途中にトラップを仕掛けることで、捕獲の全自動化も可能と話します。果樹にとっては害虫であり、農家の課題解決にも一役買うことができるといいます。おすすめの調理方法としては、燻製がもっともおいしく、サワークリームとの相性も良いとのことです。中国では炒め物によく使われているほどです。このアイデアの事業化が実現すれば、SDGsのゴールに照らして次のような波及効果を生むとしました。

・国内で放置されている害虫であるセミを有効活用することで、陸の豊かさを守る(ゴール15)
・現在の自然環境下で入手でき、大規模設備や長距離輸送が不要なので環境に負荷を与えない(ゴール13)
・果樹農家の夏場の副収入となり新たな産業を生む(ゴール9)」

類似の昆虫食事業としては主にコオロギの他にカイコ、ミルワームなどがありますが、現在セミに注目している企業は無いと話し、新規性を強調。また養殖ではなく採集によって得るため自然環境への影響が少ないこと、生産性が安定していることで優位性があるとしました。最後に、国内で食材として一切意識されていない、つまり眠った資源を掘り起こし活用することでSDGs時代の金脈を発掘したい。と結びました。

審査員講評

審査員のアグリビジネス投資育成株式会社取締役代表執行役・松本恭幸さんは「タンパク源不足という大きな世界的課題を地域に引き寄せ、かつ農家の課題も解決するというチャレンジにワクワクした。自動採集装置のサンプルや採算性、他の幼虫と比較してのメリット等を打ち出せば投資家に対する説得力が増すと思う」と講評しました。株式会社ユーグレナ 代表取締役社長・出雲充さんからは「なぜあなたがセミに注目したか」と質問を受け、「地方公務員時代に地域活性化に関心があり、夏場に大変多くいるセミをなんとか活用できないかと考えていた」と回答しました。

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