開催レポート

おいしく食べて介護予防!お米のグミで口腔機能を向上させる

米Time for Your Health/安孫子 眞鈴 (山形大学大学院)

プレゼンテーション概要

山形大学大学院の安孫子眞鈴さんが発表したのは、高齢者の口腔機能の向上を目指すためのグミ「米Time(マイタイム)」です。安孫子さんは、高齢者は「オーラルフレイル」といわれる口腔機能の衰えが食欲の低下や栄養不足を招き、要介護状態に陥る一因となると説明。これを防ぐには習慣的に咀嚼して「噛む力」を保つことが必要であると話しました。グミを選んだ理由は、製造段階で食感を自在に変えられ、年齢や健康状態に合わせておいしく咀嚼力を鍛えることができるから。また、米を主原料とすることで、コメの粘りを生かしてモチモチした食感と歯切れの良さを両立させました。野菜の粉末を添加することで高齢者に不足しがちなビタミン類や食物繊維を摂取することが可能となります。

既存商品が材料比によって弾力を調整するのに対し、米Timeはハチミツやジャムといった濃厚溶液に漬け込み浸透圧を利用して弾力を高めるというユニークな方法で行います。第一弾商品はすでに通販サイトで販売しており、購入者からの感想や意見をもとに改良を重ね、さらに開発を進めているといいます。開発からテストマーケティング、2025年に店頭販売開始までの事業展開スケジュールも示し、テストマーケティング先はすでに介護施設等を確保しているとのこと。さらにヴィーガン市場を中心に海外進出も視野に入れていると説明しました。

米Timeの独自性と特長を生かした将来的な展開については、グルテンフリーのため小麦アレルギー対応食として打ち出せます。また、今後、ゼラチンを不使用とした米Timeを作ることができれば、ヴィーガン対応が可能であり競合商品と差異化が図れます。さらに野菜の葉や根の粉末を原材料に使うことで未利用資源を活用することに加え高栄養化を実現できます。これにより咀嚼力の向上だけでなく栄養摂取の手段としても提案できると考えています。

審査員講評

審査員の株式会社ユーグレナ代表取締役社長・出雲充さんは「ピッチでは“なぜあなたが”この取り組みをするのか、という部分をしっかり伝えるとさらにいいと思う」とアドバイス。一般社団法人AgVenture Lab理事長・荻野浩輝さんは「ヘルステックやエイジングテックの領域にも踏み込んだ愛のあるアイデアだ」と講評しました。また審査の結果、学生賞に選定した理由についてセブン&アイ・ホールディングス執行役員・釣流まゆみさんは「高齢化社会において重要な課題である健康にしっかり向き合う姿勢が、審査員の心を打った。お米を長く研究してこられた成果として、大変完成度の高い発表だった」と講評。「ビジネスとして今後大きく広がる可能性を感じました」と期待を寄せました。

受賞者インタビュー

その他のプレゼンテーション

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